【言語力の技能について】
言語力は「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つの技能の総合力です。
そして言語力を習得するためには「文法」「単語」「発音」を記憶しなければなりません。この記憶という段階を経ないと言語力は習得できません。
そしてこの3つの要因である「文法」「単語」「発音」を記憶したらこれらを自由に駆使して組み合わせる力が必要です。この組み合わせる力が脳の言語中枢という部分です。それぞれ「話す」技能をつかさどるブローカー野、「聞く」技能をつかさどるウェルニッケ野という場所がありそれらが相互に連携して言語中枢となっています。
たとえば日本語を母国語にしている人が新たに英語などの外国語を習得するときにもこの言語野でカバーしなければいけません。しかし多くの日本人は小学生、中学生から英語を勉強しているのに英語を話せないし聞くこともできません。つまりこの言語野を活用せずに日本史の年号や数学の公式を覚える時と同様な覚え方、単刀直入に言うと受験のために知識だけを詰め込んだ結果だということです。
【日本人が一番、苦手とする言語の技能】
多くの日本人は数年間は英語を勉強しておりある程度の英単語や英文法は理解しています。そして受験のために英文の読解力も身についています。また最近はリスニングの試験もあるため「聞く」勉強もされているでしょう。つまり「読む」「書く」「聞く」の学習経験はありますが「話す」ことはほとんどしてこなかったはずです。
たとえ訪日旅行者が増えても学生時代は彼らと話す機会はほとんどないでしょう。また欧米のように移民などもいないため地域やクラスに異なる言語を話す友人もいないはずです。だから必要に迫られて英語を話す経験がないまま社会人となるケースがほとんどです。そして仕事で英語を話さなければいけないときにはじめて気がつくのです。自分は英語をまったく話せないのだと。
これがまぎれもない現実であり日本人にとって一番、苦手とする技能は「話す」ことです。そして「話す」ことができなければどんなに「聞く」「読む」「書く」ことができても言語としては成立しません。
【話す技能が重要な理由】
言葉の4つの技能で一番大事なものは何か、私は迷わず「話す」技能であると答えます。それはなぜか、イメージしてみましょう。人間が生まれて初めて言葉を使うとき、それは「読む」「書く」「聞く」ことでしょうか?違いますよね。まずは自分の欲求を母親に伝えることです。それは「オギャー」と発声することから始まります。「オギャー」がいずれ「まんま」となり「お腹がすいた」と発展します。「オギャー」が世界中の人が初めて言語力を駆使する瞬間です。つまり「話す」ことから始まるのです。「話す」ためには母親の言う言葉を必死に覚えます。それが「聞く」ことです。「話す」「聞く」を生きるため、必要に迫られ言語野を駆使した結果、母国語と定着するのです。しかしこれまでの日本の英語教育の場合、「読む」「書く」が中心でこの「話す」ことはほとんどしてきませんでした。だからこそ言語野で英語を理解することができず英語を「話す」ことができない、つまり英語をこれだけ長い間、勉強しているのに苦手とする人がこんなにもいる国になっているのです。逆に解釈すれば「話す」ことに特化して勉強すれば自然と「聞く」ことができます。「話す」「聞く」ことができれば英会話は成立し外国人とコミュニケーションができるのです。だからこそ「話す」ことを英語学習の軸に組み立てることが一番、効率よくそして楽しく英語を学習する方法なのです。
コメント