【語学の本来の意味】
なぜ人類は語学を手にできたのでしょうか。
人類の起源はアフリカといわれています。当時、猿に近い人類の先祖は弱い存在でした。そのため生き抜くために集団で生活し、天敵と戦ったり獲物を狩るため道具を作る技能を手にしました。そして集団で一緒に狩りをしたり、子育てをするときに仲間同士でコミュニケーションをする必要が出てきました。この頃から言語がうまれたと考えられています。
実際に知能の高いイルカやクジラも集団で狩りをするとき、子育てをするときは会話をすることが確認されています。
つまり言語は生きるために自分の意思を声帯をふるわせて音として発声し相手に自分の意思を伝えること、そしてその音を耳で聴いて相手の意思をくみ取ることが最初にうまれた言語の成り立ちです。
【語学力の誤解】
日本の英語教育は受験を目的として学ぶため語学の本来の意味、「話して聞いて会話をする」という経験をほとんどせずに知識のみを詰め込んできました。その結果、英文読解や文法の穴埋め問題ができても実際に外国人と会話する段階になればほとんどの日本人は何も話せず聞き取れないのが現実です。つまり「英語の試験で点が取れること」が「語学力がある」ということではないのです。
外国では観光客目当てに子供たちが親の商売の呼び込みなどをする風景をよく見ます。彼ら、彼女たちは英語、中国語、韓国語、日本語などを相手によってたくみに使い分けたくましくコミュニケーションをしてきます。おそらくTOEICを受けても点数は取れないかもしれませんが間違いなく日本人の同世代の子供たちよりもはるかに語学力はあります。それは学ぶ目的が試験のためではなく自分たちの意思を相手に伝えるために言葉を学び自分のものにしているからです。つまり語学力を高めるためには会話をできるようになることを最優先目標としてそのために文法、単語、発音を学ぶという発想の大転換が必要です。そして結果として英語の成績も間違いなく向上します。
【英語は訳すのではなく感じ取ること】
英語を学んでいくとよく「英語脳」になれと言われます。
簡単に言うと「英語脳」とは英語を日本語で訳すのではなく英語として感じ取れということです。
また遡り翻訳もしてはだめともいわれます。遡り翻訳とは英語と日本語は語順が違うので英語の語順を日本語の語順に戻して理解しようとすることです。
私がつまずいたのはまさしくこの部分です。私も昭和の英語教育を受けてきたので英語を聞くと頭の中で日本語に訳し語順も整理する癖が抜けずにその結果、わからない単語が混じっていたらその場で止まってしまいその先の英語も聞き取れなくなります。一度、つまずくとその先も何を言っているかわからなくなるという悪循環となります。読めるのだけど聞けない、まさしく多くの日本人がこの負のループに陥っているかと思います。
英語が得意な人が英語脳になれとは簡単に言えますが英語が苦手な人には酷な話です。しかしあるとき、画期的な方法を思いついてそれ以降は頭の中で日本語に訳す癖がなくなりました。それは英語を聞いた瞬間にその言葉を日本語ではなく頭の中で写真や動画のイメージにするのです。
I play baseball.
簡単な英文でもいちいち頭の中で「私は 野球を します」とつぶやいていませんか?このような短い英文ならいいですが長い文章になったりわからない単語があればその場でフリーズします。
そこで耳に入った言葉を写真・動画のイメージとして受け取るとどうなるでしょうか。Iと聞いたら自分を思い浮かびplayを聞いたら何か体を動かしているシーンをイメージしbaseballと聞いて野球の試合をイメージします。
イメージが頭の中でぱらぱらとめくれますが言っている意味は感じ取れるかと思います。この方法であればもし意味の分からない単語が出ても無視すればいいのです。わかったイメージだけを頭の中で振り返り相手が何を言っていたのかを感じ取れば次の会話に移れます。会話は英語の試験ではありません。あなたがプロの同時通訳でない限り語順も単語も文法も完璧な翻訳をする必要はないのです。一番、大事なことは相手の意図を感じ取ることなのです。
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